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2026.07.05
同一労働同一賃金を進めるほど、助成金が遠のく?
日々仕事をしていると、「この二つの制度、本当に整合性が取れているのだろうか」と感じることがあります。
それが、「同一労働同一賃金」と「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」の関係です。
もちろん、どちらも働く人のため、そして企業のために設けられた大切な制度です。
しかし、賞与や退職金という視点で見ると、少し違和感を覚える場面が・・・
同一労働同一賃金が求めていること
同一労働同一賃金では、正社員とパート・有期雇用労働者との間で、仕事内容や責任の程度、人材活用の仕組みなどが同じであれば、不合理な待遇差を設けてはならないとされています。
賞与や退職金についても同様です。
「パートだから賞与は支給しない。」
「パートだから退職金はない。」
そのような取扱いが直ちに認められるわけではなく、その待遇差に合理的な理由があるかどうかが問われます。
つまり、賞与や退職金についても、不合理な待遇差は是正していくというのが制度の考え方です。
一方、キャリアアップ助成金では…
キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、パートや契約社員などを正社員へ転換した際の処遇改善を支援する制度です。
そのため、正社員へ転換したことで、
・基本給が上がる
・賞与制度の対象となる
・退職金制度の対象となる
など、正社員として待遇が改善されていることが求められます。
正社員化を促進する制度ですから、この考え方自体は理解できます。
でも、ここで疑問が…
例えば、同一労働同一賃金の考え方を踏まえ、仕事内容や責任に応じてパートにも賞与を支給し、退職金制度についても見直した会社があったとします。
これは、不合理な待遇差をなくそうと真面目に取り組んだ結果です。
ところが、そのパート社員を正社員へ転換しようとすると、賞与や退職金という面では「正社員になったことによる処遇改善」を示しにくくなります。
一方で、パートには賞与も退職金もなく、正社員になって初めてそれらの制度が適用される会社の方が、「処遇改善」を説明しやすく、助成金を活用しやすいケースがあります。
もちろん、待遇差に合理的な理由があることは大前提です。
しかし、制度の構造だけを見ると、少し不思議に感じませんか。
私が感じる整合性の問題
同一労働同一賃金では、賞与や退職金などの待遇差は、不合理なものであれば是正する方向にあります。
一方、キャリアアップ助成金では、正社員転換時に賞与や退職金などの待遇改善が求められます。
つまり、賞与や退職金については、一方の制度では「差を縮める」ことが求められ、もう一方の制度では「差があること」を前提としているように見えるのです。
もちろん、それぞれの制度には異なる目的があります。
同一労働同一賃金は、不合理な待遇差をなくすこと。
キャリアアップ助成金は、正社員への転換を促進すること。
だからこそ単純に比較はできません。
それでも、実務に携わる社労士としては、「この二つの制度は、本当に整合性が取れているのだろうか」と考えさせられることがあります。
助成金は、人事制度の目的ではない
企業が処遇を考える際には、まず同一労働同一賃金の考え方に沿って自社にとって納得できる制度を整えることが大切だと思っています。
助成金はその制度づくりを後押しするものであって、助成金を受けるために賃金・処遇のしくみを設計するものではありません。
とはいえ、賞与や退職金という点については、「同一労働同一賃金を進めるほど、キャリアアップ助成金を活用しにくくなる場面がある」のも事実です。
皆さんは、この二つの制度の関係をどのように感じられるでしょうか。










