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2025.09.05

2025年10月1日から義務化!「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」

 ~みなさんの会社はルールを決めましたか?~

今年10月1日から、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対して、企業が柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務付けられます。

具体的には、下記5つのうち2つ以上を選んで就業規則に定める必要があります。従業員は、その中から1つを選択して利用できる仕組みです。

【選択肢となる5つの措置】

  1. 始業・終業時刻の変更

  2. テレワーク(月10日以上)

  3. 保育施設の設置・運営等

  4. 養育両立支援休暇(年10日以上・時間単位付与可/無給可)

  5. 一日の所定労働時間を原則6時間とする短時間勤務制度


どの制度を選ぶ会社が多い?

実務上は、⑤短時間勤務制度を選ぶ企業が多いようです。
もともと3歳未満の子を養育する従業員には短時間勤務制度を導入している会社が多く、対象を「小学校就学前」まで広げてもスムーズに適用できるためです。

また、所定労働時間を6時間とすることで、賃金も勤務時間に応じて75%程度と分かりやすい仕組みになります。企業側も制度設計しやすく、従業員側も利用しやすいことが理由です。


その他の選択肢のリアル

①始業・終業時刻の変更

フレックスタイム制やシフト調整の一部として導入しやすいですが、注意点は「ルール化の程度」です。
事前に届出を必須にしている会社もあれば、上司との口頭調整だけで運用している会社もあります。
裁量に任せすぎると「遅刻との区別があいまいになる」「繁忙時の人員不足が生じる」などの懸念が出るため、幅の上限(例:30分~2時間の範囲で調整可)を定めておくとトラブル防止につながります

②テレワーク(月10日以上)

ホワイトカラー職では比較的実現しやすい一方で、接客や製造業など「現場ありき」の職種では導入が難しいのが実情です。
「月10日以上」という要件もハードルが高く、フルリモートを認めていない企業にとっては現実的ではない場合が多いでしょう。
ただし、シフト勤務の一部をリモートにする、出社と在宅を組み合わせるなど、工夫次第で部分的に導入できる余地もあります。

③保育施設の設置・運営等

自社で託児所や保育園を設けるのは大企業や病院など限られた業種にしか難しいでしょう。
しかし、福利厚生サービスを活用している場合には「ベビーシッター代補助」や「提携保育園の利用割引」が含まれていることがあります。
企業側があまり意識していなくても、実は③に該当していたというケースもあるため、契約している福利厚生の内容を一度チェックしてみる価値があります。

④養育両立支援休暇

こちらは無給でOKなので比較的導入ハードルが低い制度です。
ただし「年10日以上」「時間単位で利用できること」が条件のため、就業規則や社内システムの調整が必要になります。
有給休暇とは別枠で与えることになるため、実際にどのくらい利用が見込まれるかを事前に検討しておくと安心です。


まとめ

制度の選択は、業種や従業員の状況によって大きく変わります。
みなさんの会社では、もうルール(就業規則)を定めましたか?

「従業員にとって利用しやすいこと」と「企業にとって運用可能であること」の両立がポイントになります。

制度の導入や就業規則への反映にあたっては、細かな運用ルールの整備が欠かせません。
迷われる点があれば、ぜひ専門家へご相談ください。

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