2023.02.04
協会けんぽの各種申請書の様式が、令和5年1月から変更されました。
コロナ禍もあり、弊所が協会けんぽに申請する書類の中では傷病手当金の頻度がダントツに高いのですが、傷病手当金申請様式も大きく変わりました。
協会けんぽのホームページを見ると、「協会けんぽでは、より分かりやすくすること、より記入しやすくすること、より迅速に給付金をお支払いすること等を目的として、令和5年1月に各種申請書(届出書)の様式を変更しました。」と書かれています。
確かに傷病手当金の申請書も記載欄が減り、シンプルになりました。
産休中や育休中を除き、社会保険料の被保険者分は、被保険者本人が負担する必要があります。
ですので長期休職の場合など、毎月毎月社会保険料を本人から振り込んでもらう手間を省くため、「傷病手当金の給付金は一旦会社が代理受け取りし、そこから社会保険料や住民税を控除した金額を本人口座へ振り込む」という方法を取られていた会社さんも多かったのではないでしょうか。
しかし今回の新様式には、「受取代理人欄」がありません。
これにより、傷病手当金の振込先口座を、会社とすることはできなくなりました。
「傷病手当金の受取人は原則本人のみ」ということになります。
もう一つ気になったのが、3ページ目の「事業主記入用」の大きな変更です。
勤務状況欄(日付欄)が、「申請期間中、出勤した日だけ〇で囲む」となりました。
これまでのように、出勤、所定休日、有給休暇、欠勤に分けて表示する必要がなくなったということです。
欠勤控除の計算式も書く必要がなくなりました。
出勤していない日に対して支給した報酬等があれば、「支給した日と金額を記載するのみ」です。
簡素化され一見分かりやすくなったように見えますが、記載例の「有給手当」を見て・・
「う~ん・・・どやさ!!」となりました。(-_-メ)
年次有給休暇取得中の賃金は、就業規則等で定める会社のルールに基づき、「平均賃金」「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」「標準報酬月額の30分の1(要労使協定)」のいずれかとなります。
正社員など、月給者に対する年休中の賃金は「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」と定めている会社さんがほとんどです。
その場合、給与計算において「有給手当」は計算する必要がないため、「年休を〇日取ったから有給手当として〇円支給する」といった発想を、総務ご担当者の方はお持ちでないと思います。
しかし・・
欠勤控除の計算式を書かない代わりに、給与計算時には考えもしなかった月給者の有給手当額をわざわざ計算し、「その金額を記載する必要」が、新様式の傷病手当金支給申請書にはあるのです。
これ・・・分かりにくくないですか?
日給者や時間給者であれば、「有給手当」は給与計算時に算出していますので、考え込むことなどなく、そのまま記載すればOKです。
月給者の場合であっても、一賃金計算期間のすべてを有給取得したのであれば、「所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」すなわち「通常の総支給額を記載するんやろなぁ~」とイメージできます。
しかしそれ以外のケースでは、月給者に有給手当を支給する発想がそもそもないこともあり、「金額(有給手当)を記載せずに申請されてしまう会社さん、けっこう多いんとちゃうのん??」・・・と気になった訳です。
せめて月給者の有給手当計算式例でも示されていれば、そのようなミスは防ぐことができると思うのですが、協会けんぽから出ている記載例には「有給を〇円支給した場合」とあるのみです。
これだと、「有給手当を記載するのは、日給者や時給者だけやね」と勘違いしてしまいそうです。
または、「有給=賃金が出ている日⇒出勤した日と同じ」と判断し、勤務状況欄を〇で囲んで申請してしまうケースもあるかもしれません。
果たして新様式の申請書は記入しやすくなったのか??
かなり疑問です。
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