ブログ
2019.07.26
芸人さんの労働者性
吉本興業の「闇営業問題」が連日報道されています。
反社会的勢力が主催するパーティーで金銭を受け取った、そのギャラを申告していなかった、その後の吉本興業の対応・・・等々、多くの問題がからみつき炎上しているようですが、私が一番引っかかったのは、「ハナシ聞いてたら吉本の芸人さんて、労働者性めっちゃ高いんとちゃうの?」ということです。
かなり前、「舞妓さんの労働者性」でも、書きましたが、労働者であるかどうかの判断は「使用従属性」です。
契約ではなく、実態で判断します。
1)具体的な仕事の依頼、業務従事の指示などに対して諾否の自由があるかどうか
2)業務の遂行方法について、使用者の具体的な指揮命令を受けているかどうか
3)拘束性があるかどうか
4)代替性があるかどうか
5)事業者性があるかどうか
6)専属性の程度
上記は、使用従属性の判断基準や労働者性を補強する要素です。
う~む・・・どれも該当しそう・・・
よほどの大物タレントでない限り、会社から仕事の依頼があれば断れない(許諾の自由なし)でしょうし、タレントが自らの判断で別の芸人をを興行場所に差し向ける(代替性)なんて考えられません。
また、仮に「プロダクションを通さない芸能関係の仕事は一切禁止する」という契約内容であれば、専属性は100%です。
いわゆる「闇営業」という言葉も、芸人さんの強い専属性を想像させます。
ちなみに・・・自由出演契約に基づく放送管弦楽団員が労働者と認められた最高裁判例もあります。
「契約書がないのは競争政策の観点から問題がある」と公正取引委員がマスコミに答えたそうですが、これは「タレントは個人事業主」であることを前提にしています。
個人事業主(業務委託)なのか労働者(雇用契約)に該当するのかは、どんな契約書を交わしたかではなく、実態で判断されるのですが、なぜかこのことについてはマスコミも触れていないようなのです。
「おまえら全員クビ」って言葉が出た時点で、「社長の頭の中も実態も雇用契約に近かったんやろ~なぁ~」という気がしているのですが・・・
単なるマネジメント契約・・ではないような・・・
労働者であれば、最低賃金法や労働基準法、労働契約法・・等々が適用され、芸人さんの生活は安定します。
記者会見でおっしゃった「全員がファミリー」に会社の体質も変わるのではないかと思う次第であります。