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2013.11.24
ダンダリン第8話-2「研修制度の是非とそのやり方」
ダンダリン第8話 (1)不正隠しは会社の利益につながるかの続きです。
(2)研修制度の是非とそのやり方
①研修制度自体の是非
今回、会社の研修制度がテーマでした。
そのため、会社の研修制度自体が問題であるかのようなイメージを持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
会社が、社員の能力開発のため、各種の研修制度を用意すること自体は、もちろん適法です。
むしろ、会社の業績向上という点でも、社員個人のスキルアップという点でも、望ましいことといえます。
そればかりか、研修のやり方によっては、、460万円もの国の助成金が支給されるものもあります。(あっという間に、予算が到達してしまい、この助成金は終了しましたが・・・)
今回の会社、研修費用は無料のようでした。
語学研修などは、学校に通えば数十万円かかってもおかしくありませんし、会社を辞めても役立つ能力です。
その意味では、タダでスキルを身につけさせてくれる良心的な会社といえるかもしれません。
今回問題だったのは、研修が強制的になされており、かつ、研修時間について賃金が支払われていなかったという点です。
見方を変えれば、「惜しい会社」ともいえます。
②自発的ならすべてOK?
では仮に、今回の会社が、その主張通り、完全な自由参加の研修を多数用意していたとして、あまりに向上心の強い従業員が、健康を害するほど睡眠時間を削って多数の研修に参加していたとすれば、何か問題はあるでしょうか。
確かに、研修制度を設けること自体に問題はありません。
しかしこの場合、会社が用意している研修であることから、参加数の増やしすぎは健康を害する可能性があると予測することが可能ですし、どれだけ参加しているかについて把握することも可能です。
会社には社員の健康に配慮することを含む「安全配慮義務」が雇用契約上生じていますから、参加数の制限や、無理のない職務シフトや研修スケジュールにする義務があります。
もし、参加のしすぎで健康を害し、心身の障害が生じた場合は、民事上、損害賠償の支払義務が生じると思われます。
今回の会社でも、過労で倒れた社員に対しては治療費や慰謝料の損害賠償義務があります。
社長は研修制度に関して、自由参加である以上全く問題がないとして、余裕の表情でしたが、過労で倒れるような研修制度の設け方自体が問題です。
③強制か否かの線引き
現実の世界で研修が問題となりそうな業種として、先ず1番に美容業界が思い浮かびます。
美容師さんは、特に新人の頃、通常業務の前後に技術訓練をします。
具体的な状況ややり方は様々だと思いますが、美容業界で技術向上は不可欠なのは、言うまでもありません。
すべての新人にとって訓練は避けられないものだとすると、それが自発的であるとしても、義務的要素は生じます。
そうなると、労働時間にあたらないと言い切れるかは疑問で、何をもって「研修」とするのか、少なくともルールを明確化する必要があると考えます。
「ルールを明確にする」
それだけで、ずいぶん無用なトラブルを防ぐことができます。
このルールこそ、会社を守る就業規則なのです。