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2026.03.06

舞妓さんは「労働者」では?

 舞子さんの労働者性

舞妓さんは「労働者」なのか

2012年に、舞妓さんについて次のような記事を書きました。

京都で舞妓さん遊びをする機会があり、
事前にいろいろ調べているうちに、
仕事柄どうしても気になることが出てきたからです。

ありがたいことにこの記事は今でも多くの方に読んでいただいており、
舞妓さんの労働者性についてお問い合わせをいただくこともあります。

ただ、改めて読み返してみると、
当時の記事は思いつくままに書いてしまったため、
かなりわかりにくい...。

そこで今回は、当時の記事の内容を整理してまとめてみました。

元の記事はこちらです。
https://hanjou.jp/blog/2012/11/25/


舞妓さんについて調べてみると

舞妓さんについて調べてみると、次のようなことが分かりました。

1 京都の舞妓さんは、まず未成年であること

2 昔と違い義務教育を卒業してからでなければ舞妓さんにはなれないが、
高校を出てからでは年齢的に遅すぎるため、
一般的には中学卒業後すぐ置屋に住み込み修行をする

3 その間、衣食住の面倒は置屋が見てくれるが、
賃金の支払いはなく、お小遣い程度

4 一人前になるには着物代やお稽古代など莫大な費用がかかり、
それは置屋が一旦負担してくれるが、
5年ほど年季奉公(いわばタダ働き)をして返す
年季が明けるまで辞めることもできない

このような仕組みになっていることが分かりました。


もし労働者だとすれば大問題

ここで気になったのが、

もし舞妓さんが労働者だとすれば、これ大問題ではないか?
という点です。

まず、
満18歳未満の者は酒席に待する業務に就かせてはいけません。
(労働基準法第62条、年少者労働基準規則第8条)

また、
満18歳未満の者に午後10時以降の深夜労働をさせることもできません。
(労働基準法第61条)

さらに、
賃金を支払わないなんて問題外です。
(労働基準法第24条)

そして極めつけが年季奉公です。

年季奉公のような仕組みは、

・労働者が不当に拘束される
・賃金を中間で取られる
・職業選択の自由が奪われる

といった問題が起きるおそれがあるため、
絶対に禁止されている「労働者供給事業」に該当する可能性があります。
(職業安定法第44条)


労働者かどうかの判断基準

労働者であるかどうかは、
「使用従属性」があるかどうかで判断されます。

まず、
労務提供の形態が指揮監督下の労働であるかどうか
です。

例えば
・具体的な仕事の依頼や業務従事の指示に対して断る自由があるか
・業務の遂行方法について使用者の具体的な指揮命令を受けているか
などが判断要素になります。

さらに、
・報酬が労務の対償として支払われているか
・機械や器具などの負担関係
・他の仕事に従事することの制約(専属性)
といった事情も考慮されます。

舞妓さんの実態を見ると、
どう考えても労働者性がありそうに思えます。


監督署に聞いてみた

もやもやしていても仕方がないので、
管轄の労働基準監督署に聞いてみました。


「舞妓さんって、労働者ではないんですか?
もし労働者なら、ガールズバーで高校生を働かせた場合と同じく、
置屋さんは労働基準法違反になりますよね。

しかも労働基準法だけじゃなくて、
職業安定法とか派遣法とか、いろ~んな法律に抵触してしまうと思うんですが…。

仕事に対して許諾の自由もないし、
仕事に関しては『何時から何時までどこそこのお座敷でおもてなしをしなさい』
という具体的な指揮命令を受けているはずですし、
実態から見て使用従属性のある労働者だと思うんですが…。

舞妓さんについては、何か特別な通達でもあるんでしょうか?」


数時間後、監督官から電話がありました。

監督官
「調べてみたところ、舞妓さんは労働者ではないという見解です。
置屋は舞妓さんを一人前の芸子にするための『修行の場(学校)』という扱いです。
お酒の席で働いてもらいますが、それだけではなく踊りや芸、舞妓言葉の教育もしていますから。」


「でも労働者性の判断基準には当てはまることばかりですよね。」

監督官
「確かに、労働者性がないとは言えないんですけどね…。」


それでも少ししっくりこない

なんだかしっくりきません...。

要するに、
「京都の伝統文化を守るために そのように判断せざるを得ない」
ということなのだと思います。

ただ、監督官の言う
「修行の場(学校)」という説明には、どうしても引っかかるところがあります。

置屋はお座敷に舞妓さんを赴かせ、その対価として金銭を得ています。
通常の学校は、生徒をどこかに派遣し、それを商売にするなんてことはしていません。

やはり
これは労働者供給事業に該当するのではないか?
と考え込んでしまうわけです。


だからといって否定するものではありません

と言っても、
舞妓さんの存在を否定しているわけではもちろんありません。

置屋のシステムがなければ、
京都の舞妓文化は絶対に守れなかったと思います。

もし
「舞妓さんは労働者だ」
と判断されれば、このシステムは一瞬で壊れてしまいます。

つまり
舞妓さんという文化そのものが
日本からなくなってしまう

ということになります。


実際に問題になったこともある

過去には、
舞妓さんとして働いていた方が、
舞妓の生活や待遇の実態について訴え、
社会的に話題になったこともありました。

この問題は単なる文化の話ではなく、労働や人権の問題として議論されました。

そして個人的には、
「伝統だから法律の適用を考えなくてよい」ということであれば、どうしても納得がいきません。

法律は、本来すべての人に平等に適用されるものだからです。
もちろん、舞妓さんの文化そのものを否定するつもりはありません。
京都の舞妓文化が長く守られてきた背景には、
置屋のシステムが大きな役割を果たしてきたことも事実だと思います。

ただ、伝統文化であるからといって、
法律との関係をどのように説明するのかという問題は、
これからも考え続ける必要があるのではないかと感じています。

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